2月のシチリアはお花見の季節
陽射しが春っぽくなってきたなー、と思い始めるころ、どこかでひょっこりと出会うアーモンドの花。
私にとっては春の到来を象徴する花のひとつです。
シチリアの片田舎にはアーモンドの木が群生している場所が必ずと言っていいほどあります。
そんな場所を見つけるとウキウキして、思わず車を停めて眺めるのですが、通り過ぎる車からは
「あの人、何をしているんだろう?」
と言わんばかりの視線。
シチリアは自然が豊かで、ここで育った人たちにとっては、この満開のアーモンドの花たちも毎年見かけるそこにある風景で、
特別珍しいものでもないらしいのです。
それとも桜の花に何か特別な感情を抱くのは日本人だけなのでしょうか?
この季節にシチリア南西部にあるアグリジェントのギリシャ遺跡がある神殿の谷に行くと、
巨大なアーモンド群生地帯を見ることができます。
紀元前に建てられたギリシャ遺跡を背景に咲き誇るアーモンドの花。
何千年という時を経て今も尚存在しているギリシャ神殿と何百年と厳しい自然に耐えてきたアーモンドの木。
シチリアの悠久の歴史を感じられる風景の一つで、私にとっては春の訪れを感じる季節の風物詩。
そういえば最後にあの風景を見たのは一体いつだったことでしょう。
今年は久しぶりに神殿の谷でアーモンドのお花見といきますか。
アーモンド豆知識
アーモンドの木は聖書の記述にも出てきたというくらい歴史は古く、紀元前10世紀ごろにギリシャ人が地中海全土に広めたと言われ、シチリアにもギリシャ人によってもたらされました。
アーモンドの木は「バラ科サクラ属」。
花が桜にそっくりなのは、同じ属に属しているから。
アーモンドは大別するとスイートアーモンドとビターアーモンドに分けられ、一般的に食用とされるのはスイートアーモンド。
ビターアーモンドにはアミグダリンという苦みを感じさせる成分が含まれていて、これは一定量以上を摂取すると体に有害な物質となります。
シチリアで栽培される主な品種は「Pizzuta種(ピッツゥータ)」、「Fascionello種(ファッショネッロ)」、「Romano種(ロマーノ)」。
シチリアのアーモンドは味が濃く、風味がよいことで世界に知られます。
シラク―サ県のアヴォラのアーモンドが有名ですが、アグリジェント県でも多く生産されている他、シチリア全土で収穫されています。
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